西洋思想史 第3回続き



ではでは、続きです。


各自が調べたものとして話しますけど、
あなたは調べ始める際にグーグル先生に
どんな質問を投げかけたでしょうか?


「日本 婚姻 歴史」

「日本 婚姻 昔」

「婚姻 種類」



こんな感じですかね?


まあこれは私がセミナーを見たときに
実際に検索したワードなんですけど、
それらを調べると

http://www.town1.jp/dousuru/kankon/nihon/nihon1.htm
http://u-b.jp/knowledge/bridal/yomi-konrei-3.html
http://www.100nen-shuppan.com/kekkonshikinorekishi

こんなサイトが出てきます。


で、いろいろ調べてみて

へー、昔って乱婚文化だったんだー

とか

攫って結婚したり買って結婚したり
夜這いして顔も見えないまま結婚したりの
時代もあったんだなー

とか

男性が相手の家に行く場合もあれば
女性が相手の家に来る場合もあるんだなー
女性蔑視はいつの時代からかなー

とかいろいろ考えたりしてるうちに
10分だか15分だかが過ぎ去っていました。


あなたはどうだったでしょうか。


はい。


まあこの辺りは
各自で振り返っていただいたものとして、
木坂さんの話に入っていきます。


結論から言えば当然、私みたいなのは


ダメダメ


です。


セミナーで調べてくれた人も
似たような感じだったんですけど、
木坂さんが言うことには

「検索ワードがぼんやりし過ぎている」

ということでした。


そのとき木坂さんが言っていたことを
そのまま言ってしまうと

「ストラテジーが定まってないうちに
調べ始めてしまうと情報が発散しすぎて
しょうがなくなっちゃうんですよね」


ということ。


まあ要するに、検索する際に何も考えず、
思いついたキーワードをぶっこんでるだけ。

それで出てきた情報を鵜呑みにして
なんとなく整理しただけ。

そんなだからぼんやりした発表にしか
ならないんですよ、ということでした。


でも、考えてみればそりゃそうなんですよ。


言ってしまえば私の検索の仕方って

「婚姻について教えてよ~ねえ教えてー」

って聞いてる物心付いた3歳児みたいなもんですから。

そりゃグーグル先生も困っちゃうよって話です。


本ならそういう意識でも著者が整理して
くれてるので問題はないんですけど、

(そういう意味では情報収集の入り口は
本の方が間違いはないんですよね)

ネットだといろんなものが整理されず
ごちゃっとした状態で出てくるので
今回みたいにぼんやりしてしまうことが多いです。

ネットは便利な分、本当の意味で使いこなすには
それ相応のスキルが必要なんですよね。


じゃあどうすればいいんだ。

ってことになるので、少し例を出してみましょう。


まず前提から確認しますけど、
日本は古来より階級社会として成り立ってきた
ことは皆さんご存知だと思います。

ですから、身分によって婚姻の仕方は違いますし、
その身分自体もいつの時代を調べるかで
まったく変わってきます。


その視点から少し追っかけてみるとします。


例えばですが、私が調べた夜這い婚は
平安とかその時代の貴族階級の婚姻です。

竹取物語とかに代表されるような、
女性の顔が見れない時代に行われた
婚姻方式ですね。


それに対し、同じように出てきた乱婚文化は、
主に農村で行われていた婚姻方式です。

まあこれを婚姻と言っていいかは微妙ですし、
そもそもそんな時代に婚姻という
概念があったのかすら怪しいですが、

生きていくためにとにかく人出が欲しい

という農村からすれば当然の形態と言えます。


そうなると、ですよ?

農村部に婚姻って概念がなかったと仮定すると

じゃあ婚姻制度っていつ広がったんだろう

みたいな話になってきます。


当然、突然農村の村長が

「そうだ、婚姻制度を作ろう!」

とかなるわけないですから、

政府からのお達しであろうことが想像できます。


で、それについて調べてみると
そうすれば大宝律令だとか班田収授法みたいな
戸籍制度のはしりに至ることができ、
戸籍制度を導入した目的もわかってきます。

そしてそれがわかればその後の変遷も
戸籍制度やそれに関する法律を追っていくことで
見ていくことができる。

婚姻の歴史を短時間で押さえることが
できるわけです。


ちょっとやってみてください。


さっきよりは具体的になったはずです。


まあなんにせよ。


「日本の婚姻制度」とかで調べてしまうと
様々な時代、様々な階級の婚姻が
ごちゃごちゃになって出てきます。

出てきたものを1つ1つ整理できればいいですけど、
効率的とは程遠いですし、そもそも難しい。

そういう意味で、この問いを調べる際には
「事前の場合分け」が必要になるんです。


・いつの時代について調べるのか。

・どの階級(身分)について調べるのか。

・どの視点から調べるのか。



こういったことをグーグル先生に聞く前に
少しでも考えてみる。


そういった

調べる前の「あたり」を付ける作業

が検索をする際には重要なんですね。


そういう意味では、この検索という作業も
「対話」に近いものがあります。

どう聞けば答えやすいか、
どんな答えが返ってくるかを事前に予想して、
”仮設を検証する意味で”調べる。

そして聞いた答えを用いて仮設を立て、
さらにそれを検証するために問いかける。


そういう循環的対話。


それがネットと向き合う際に必要なスキルです。


もちろん、事前にあたりをつけるためには
いろんなことに精通している必要がありますし、
当然ながら練習も必要です。

私たちと木坂さんとでは情報量に差がありますから
木坂さんと同じように検索できるわけありません。


ただ、インターネットを

「わからないことを聞くツール」

と捉えるか

「仮設を検証するツール」

と捉えるかで意味合いが大きく違うのです。


3才児的質問方式か対話か。


教えてよ~、と聞くか、農村部の婚姻は
政府から降りてきたものっぽいんだけど、
そこんとこどないでっか、と聞くか。


聞き方を変えれば返事も変わります。

それはビジネスでも恋愛でも同じことですよね。

両思いでも聞き方が悪いとフラれるわけです。

そうである以上、私たちも調べる前に
どれだけ準備をしてから臨んでいるかが
重要になってくるんですね。


はい。


というわけで、第1回は議論の土台の話を

第2回は議論の仕方の話を

そして今回は検索の仕方、つまり、

議論の準備の仕方

について話してきました。


まとめてみると、すべて繋がっている
ことがわかります。


しっかり学んでいくことができれば、
物事の考え方がクリアになってくることが
実感できるんじゃないかなと思います。

私もまだまだ訓練し始めた段階ですけど、
お互い切磋琢磨できるといいですね。


それではまた。

ありがとうございました!

K



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