子育てについて考える


こんにちは、Kです。

今日は教育について。

先日メルマガで「子どもに必要な力」について
書いたのでそれに関する記事です。


・コミュニケーション力
・金を稼ぐ力とか家事洗濯とかの生活力的なるもの
・好奇心なり集中力なり創造力なりの能力
・学力や語学力
・体力etc…



考え出したらキリがない子育てですが、
今回は少し「力」からは離れて、私が
「子育ての土台」と考えているものについて
お話ししたいと思います。

何が正しい間違ってるとかではなく、
1つの参考としてお読みくださいませ。


改めて考えると本当に教育ってのは難しい。

だからこそおもしろいわけですが。

ではさっそく参りましょう。



【子どもの教育を考える】


まずいくつか概念の紹介をば。

「臨界期」

という言葉をご存知でしょうか。


これは簡単に言ってしまうと
何かを学ぶには適切な時期があって
それを過ぎると手遅れでっせ〜

みたいな説のことで、アマラとカマラの例で
有名なのでご存知の方も多いと思います。

絶対音感や箸の使い方とかも有名ですが、
おそらく言語、特に第二外国語の方が
メジャーなんじゃないかな?


少し解説しておくと、私たちが第二外国語として
英語を「ネイティブとして」使えるようにするには、
9歳までに英語を学ばなければならない、
と言われています。

その時期を過ぎると私たちが体験したであろう

「日本語で英語を学ぶ」

という学び方になり、
頑張って学べばネイティブ並みに話せはするけど
ネイティブにはなれない。


英語で考えて英語で話す

のではなく

日本語で考えて英語で話す

みたいになっちゃう、というわけです。


そうなると当然英語習得に時間がかかりますし、
苦手意識とかもできやすくなります。

LやRの発音や聞き取りに関しても
差が出てきますし、当然リスニング能力も
大きく差が出ます。

ネイティブと非ネイティブを分ける
越えられない壁がこの臨界期に形成される、
というのがこの臨界期仮説です。


こういう情報は割とテレビとかでもやっていて、
一般の人にも触れる機会が多い情報です。

当然教育ママとかはこういうのを喜んで見ると
思いますし、そして多くのママさんたちは
それを鵜呑みにします。


その結果、


「小さい頃から英語に触れさせなくっちゃ」


ってなります。


子ども英会話にレッツゴー。


まあよくある感じですね。


もちろんこの辺の議論は
ネイティブがほとんどいない日本では不可能だ、
みたいな反論や

そもそも幼少期に複数言語に触れされること
自体を懸念する論文も出てるわけですが、
その辺は置いておきましょう。


この臨界期という考え方は英語に限らず、
ピアノやバイオリンもそうですし、
スポーツとかもそうです。

まあスポーツに臨界期は聞いたことないですが、
幼い頃からやっていた方がいい、
みたいに考えるなら同じこと。

こういう意識を持つ親は小さい頃から子どもを
それに適した環境に置こうとします。


ピアノ、水泳、塾、英語、バレエ、バイオリンetc…


いわゆる「教育ママ」はだいたいこんなように
考えているのではないかと思います。


幼い頃から習慣化させることで
なにがしかを身に着けさせよう。

他の子どもと差別化しよう。


英語以外でも、もしあなたが

幼い頃から自分で考えさせたい

ビジネス的な素養を身につけさせたい

いろんなことに挑戦する習慣をつけたい

とか思ってるならこっち側の視点に立っている
と思っていいんじゃないかと思います。



では、もう1つの説の紹介をば。


早期教育は子どもの脳に悪影響を与える。


という説があります。


これはよくパソコンに例えられる話ですが、
脳には、

「パソコンのスペックを決める」

に相当する時期があると言われています。


3歳までがその第1段階、9歳が最終決定

5歳も段階としては案外大事、

みたいなことも言われていますが、とにかく
特定の時期を過ぎるとある程度脳のスペックが
固定化する、というのがその概要です。


その時期以降は新しいソフトを入れたり
ソフトを改善したりすることはできますが、
スペック自体を変えることはできない。

同じエクセルのソフトを入れるにしても
処理速度が違ったら大きく変わる。

そもそもスペック的に機能しない可能性もある。

高性能ならすぐできるようになることも
スペックが劣ると時間がかかったり
まったくできるようにならなかったりする。

だからこの時期に脳自体のスペックを
上げることが大切だ。


要は脳には脳自体を育てる時期(スペック期)と、
脳の使い方を教える時期(ソフト期)があるんだぜー
と言われているわけです。


はい。


で、例のごとく。


その説を知った親はたぶんこうなるのです。


「じゃあ脳を育てなくっちゃ!」


まあよくある感じなんですよ。


ちなみですが、脳を育てる方法として
割と有名なのはこの辺です。


・運動
・睡眠
・多様な五感刺激



要はできるだけたくさんの脳細胞を
刺激することが推奨されています。

この辺は木坂さんも紹介してましたので
知ってる人は多いですよね。


運動はニューロンの数を増やす。

脳を鍛えるには運動しかない。

なんて本も出ました。

おもしろいので読んでみてはいかがでしょうか。


いずれにせよ、もしこの説を採用するなら
とにかくいろんな運動をさせたほうがよく、
刺激も偏らない方がいい、ということになります。

特に五感刺激が重要になりますから、
いろんなものを見て聴いて触って嗅いで舐めてみる、
というのがとても大切。

運動にしてみても野球1本よりは
サッカーもテニスもスキーもマラソンも
やらせた方がいいわけです。


・・・。


はい。


もうお分かりかと思いますが、
なんでこんなことを長々と紹介したのかというと
今紹介した説は少なからずの部分で
バッティングするからです。


早期教育は特定の領域に特化しますから、
当然のように刺激が偏ります。

時間もそれに取られることになりますから
与えられる刺激の量も種類も減ります。

そうなると脳の成長的には悪影響という
ことになり、子どもにとっての害悪、
ということになってしまいます。


しかしながら、語学や音感のように幼少期から
やっていなければ身につかないものもあり、

もうちょっと面倒な話をすると
早期教育が脳の発達にいい、みたいな
研究結果もけっこうあるんです。


真逆。

というかトレードオフですよね。

あっちを立てればこっちが立ちません。


そしてこれが困ったことに、子育てには
そういうものがたくさんあるんです。


いただいたメールの中にも

「○○を身につけてほしい」

という意見の他に

「○○を失わないでほしい」

という意見がありました。


これは「好奇心」についてのメールでしたが、
その人の考えだと
子どもは元々好奇心を持っている。

でも、それが徐々に失われてしまっている、
という前提が(恐らく)あります。

学校教育とか環境とか親の接し方だとかで、
子どもの好奇心が失われ、
結果残念なことになってしまっている。

だからこそ好奇心を持ち続けられるような
接し方をしていきたいと考えているようです。


この辺は夢とか学習意欲もそうですよね。

1年生の時にはみんな勉強したいと思っている。

夢を持って入学してくる。

3年生の時には勉強が嫌いになっている。

誰のせいだ?

学校のせいだ、みたいな。


じゃあ学校に入れなければ学習意欲は保たれるのか、
みたいな議論は当然必要なんですけど、
大事なのは身につけさせるという立場の他にも

「子どもが元々持っている力を失わせない」

という立場もあるんだということです。


こういう立場に立つと、例えば早期教育はもちろん、
「大人や社会の影響をできるだけ排除しよう」
みたいな教育論も出てきます。

テレビやゲームも極力与えず、
自然の中で育てよう、とかね。

その辺の顕著な例がルソーだったり
シュタイナーだったりするわけですが、

なんにせよ、どの立場に立つかで
取りうるスタンスが大きく変わってくる、
というのが重要です。


臨界期の立場に立ち、早期教育をするか。

脳の発達の立場に立ち、多様な刺激を与えるか。

できる限り自然の中で育て、
子どもが生来持っている力を維持する
方向で考えるか。


個人的にはどの立場に立っても構わないし、
どれも間違ってないと思います。

場合によっては第三の立場もある・・・
というか山のようにあります。

折衷案や止揚した案もあるでしょう。


大事なのはどれが正しいかではなく、「何を選ぶか」です。


何を身につけさせて、何を失わせるのか。

何を失わせず、何を諦めるか。

これらを決めることが必要なんですね。


ここで冒頭の問いに戻りましょう。


子どもには何が必要か。


改めて考えてみてほしいのです。


知れば知るほど、考えれば考えるほど、
答えるのがどんどん難しくなります。

むしろ何も知らない方がパッと思いついて、
しかもそれに確信が持てます。

きっとこれが必要だ、と。

迷いなく子育てに向かえると思います。


しかしながら、そういう子育ては
ギャンブルと同じです。

わからないから、とりあえず
自分の思った通りにやる。

たまたま知っていた知識だけを使い、
必要だと思ったものは
とりあえず何でも与えてみる。


もちろんそういう子育てもいいと思いますが、
本当に子どものことを思うのであれば、
大人はもっと勉強していいと思います。

発達心理学、生理学、脳科学、そして哲学も、
思った以上に子どものことを知っています。

もはや古典になってしまったルソーなどにも
はっとさせられる記述が多くあります。


ぜひ、いろいろ考えてみてください。


私も考えて共有できたらなと思うので、
もしこういうふうに考えました、
みたいなものがあったらぜひ教えてください。

今回いろいろお聞きしてとても楽しかったし、
刺激になりましたので。


それでは、また。

ありがとうございました!





P.S.

教育系の記事はあと1個書く予定です。

興味ありましたらお付き合いくださいませ。

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